青雨

リンカ


世界に蓋をするようにして、暗く重い雲が垂れ込めていた。
しとしとと、そこから雨粒が降り注いでいた。
柔らかい雨が全てを湿らせていく。


薄暗い灰色の世界を、少女は傘を差して歩いていた。
足音が湿っていた。
鬱々とした自分の足音に重なって、少しゆったりとした足音が聞こえていた。
ちらりと、自分の右隣を見た。
少年が歩いていた。よく見知った、世界中で誰より見知った、少年だ。
さりげなく顔を見ようとして、しかし頭の位置が違うので、上目遣いに窺うような視線になった。
真っ赤な傘の右側を少しだけ上にあげて、その隙間から少年の顎を撫でる視線。
顎から耳へ、耳から頬へ、頬から唇、それから鼻を通って額を巡り、最後は瞳。


バシャッと、足元が弾けた。
正面を向いていなかったので、大きな水溜まりをまともに踏み抜いていた。
汚らしく上がった飛沫が、少女の靴を濡らし、少年の靴と裾を濡らした。
自分の感情を象ったようで、酷く惨めで不快な気分に襲われた。
一歩踏み出した姿勢のまま動けなくなった少女の横で、
少年がすっと大きく足を踏み出して前へ進み、手を差し伸べて少女を自分が歩いた側へ導いた。
道のそちら側は水溜まりに沈んでいなかった。
思わず素直に彼の手を取った少女は、手を引かれるままに水溜まりの横を通り過ぎた。
傘で覆われた少女と少年の間に頼りなげに掛けられた橋は、しとどに濡れていった。
水溜まりを後にしたふたりは再び並んで歩いていた。
先ほどまでと違うのは、ふたりの間で手が繋がれていることだった。
ずっと繋がっていたいと思った訳では、恐らくなかった。
しかし、手を離してしまおうとは露とも考えなかったのだ。
それなのに、少年はするりとそれをほどいてしまった。
冷たい雨が急に肌に染み込んだように、彼女の手は硬直した。
自分の細い指が、彼の温かい手の中から抜けていく感触。ぞっとする。
指先が撫でていく彼の手のひらの肌。しわの様子。その温度。
そしてふつりと切り離され、太陽をなくした向日葵のようにだらりと項垂れた。
埒もない失望に知らず打ちのめされて、彼女は俯いて濡れた地面を力なく睨みつけた。
じめじめと真っ黒な視界の端から、すいっと青い格子柄のハンカチが現れた。
反射的に、ハンカチごと少年の手を掴んでしまった少女は、
そのまま滑らせた指先でそっと大事そうに彼の濡れた手を愛撫し、
問いかけの視線を送った。
「手、濡れたから」と、ただそれだけ言って彼は少女の白い腕を見た。
そしてハンカチだけ彼女の手に残して、またしてもするりと自分の手を抜いていった。
手の中の綺麗に畳まれたハンカチをしばらく眺めていた少女は、
傘を持っている方の手にそれを持ち換えようと、
その手を自由にする為に傘を首で危なっかしく押さえようとした。
が、横からぱっと傘を奪われた。
抗議するような視線を一瞬送ったが、彼は正面を向いたまま、彼女の方を見ようともしていなかった。
彼に差してもらっている傘の下で、少女は水滴が散らされた自分の片腕をハンカチで拭っていった。
青い格子柄が濡れて、少しだけ暗い色になった。


拭き終えた彼女は少年から傘を受け取り、彼にハンカチを返そうとしたが、
一瞬のうちにその考えを翻して、彼女は少年に腕を出すように言った。
少しだけ面食らった顔をした少年は、素直に濡れた腕を差しだし、
少女は彼の腕の上の方からぱたぱたとハンカチで押さえて、水滴を吸い取っていった。
指先まで到達し、僅かに躊躇った。
意を決して、しかし、おずおずと彼の指をハンカチで包み込んだ。
一本ずつ、優しく、絡めるように。
拭く度に、彼の指を押さえるように添えられた彼女の白い親指の腹が、舐めるように肌を滑った。
小指から始めて、最後の親指を包み込んだ。
そして拭き終わり、離れていこうとした彼女の手を、
彼の指がそっと挟み込んで緩く留めた。
顔を上げて彼の顔を見ると、どこかぶっきらぼうに、
相変わらず彼女の方を見ずに彼は、「ハンカチ」と一言呟いた。
言われた通り手だけ抜き取ると、
彼は片面がくたりと濡れたハンカチをごそごそとポケットへ仕舞い込んだ。
そして彼は、少女の足元をじっと見下ろした。
「何?」と問いかけると、「靴下、脱ぐかい」と、彼は控えめに言った。
確かに水溜まりを踏んだ彼女の足は濡れてしまって、動かす度に僅かに水音を立てていた。
指摘されて、ずっと感じていたはずの不快感に急に追い立てられた彼女は、
頷きかけて、しかし往来で裸足を晒す行為に、僅かに躊躇った。
無意識に縋るような眼差しを少年に投げ掛けると、彼は首を巡らせて周囲を見た後、
公園へ行くように提案した。


水溜まりだらけの汚らしい地面をなるべく泥を跳ねないようにそうっと歩いて、
広い公園の中央にある、屋根付きのベンチのところへふたりは滑り込んだ。
屋根の下で傘を閉じ、少年は長雨の降りしきる街の様子を軽い嘆息と共に眺めた。
ふと気が付いてベンチを見やれば、横殴りに降り込んだのか、
木製のベンチが少し湿って、じっとりと暗い色をしていた。
畳んであるのを広げれば濡れているのは隅の一角だけだと考えて、
少年が黙って先ほど使ったハンカチをその上に広げると、
少し泣きそうな顔をした少女がハンカチの上に尻を乗せた。
ゆっくりとした動作で靴を脱ぎ捨て、そして濡れて重たくなった靴下を下げていった。
暗い紺色の下から徐々に現れてくる雪色の肌。
控えめに顔を出したくるぶし。つるりとすべらかな踵。
見慣れているはずの彼女の足なのに、何故か見てはいけない秘密を覗いてしまったかのように
彼は居た堪れなくなったが、それでも目を離さずにいると、
熱心な視線に肌が焼けついたのか、彼女は咎めるようにちらりと彼を見上げて、
首筋から頬にじんわりと朱を差した。
その光景に凄絶に胸を突かれた彼は、大振りな動作で彼女に背を向けて、
どんよりと重苦しい雨の蓋をまじまじと熱心に眺め始めた。
その少年の背中を悲しそうに見た少女は、彼に聞こえないように溜息を吐き、
足から抜き取った靴下をくるくると畳んでベンチの上に置いた。
望んで見せたい訳でもないが、あからさまに拒絶されるとどこか寂しいのは何故だろう。


ふたりの他は誰もいない公園は雨音と車道を過ぎる車の音が聞こえるだけで、静かなものだった。
靴下を脱いで裸足になった方の足を持ち上げ、腕で抱え込んで、その膝の上に頬を乗せた。
人がいれば憚られる体勢だが、こんな雨の日に公園に立ち寄る物好きは居りはしない。
大胆に晒された白い腿も、その奥の合わせ目から覗く白い下着も、誰も注視する者はいない。
唯一、目の前の少年だけには見られても構わない―だが進んで見せたい訳ではない―のだが、
彼は自分に背を向けて、面白くもない自然現象の観察に忙殺されていた。
その体勢で、じっと少年の背中を見つめた。
三年近く共に暮らす同居人。
自分が誰よりも知っている人。自分を誰よりも知っている人。
だが本当にそうなのだろうか。
私は彼のことを本当に理解しているのか?
彼は私のことを本当に理解しているのか?
二年以上前の或る時期になら、そのことに確信があった。
彼の心の襞のひとつひとつまで、全て分かるような気がしていた。
自分の心の襞のひとつひとつまで、彼は全て理解してくれているような気がしていた。
しかしそれも、徐々に時間が経っていき、日常の中に埋没する日々が当たり前となるに従って、
素晴らしく甘美で心地好い全能の恍惚は薄らいでいき、ささくれ立った疑念がそれに取って代わった。
彼も自分も刻一刻と変わっていく。
一寸先では、既に彼は自分の知る彼ではなくなっていくのだ。
理解が追いつこうとする度に、その徒労を嘲笑うように彼は更に時間の流れに変貌させられていくのだ。
自分もまたそうなのかも知れない。
自身では何も変わったつもりはなくとも、いつでも何かが変わり続けているかも知れない。
彼はそれを感じ取っているだろうか。
理解し続けようとする情熱を、果たして私に対して抱いてくれているのか?
思わせ振りなばかりで、肝心な時にふいっと顔を背ける彼のやり方は彼女を傷付けた。
彼の残酷な優しさが嫌いだった。
その為に彼を憎みさえした。
だというのに、この全身から湧き上がる押さえがたいほどの衝動はどうしたことだろう。
今この瞬間でさえ、目の前の彼の広い背中に飛びついて行きたい。
濡れようが泥が跳ねようが、お構いなしに公園中を叫び声を上げながら駆け回りたい。
震えるくらいに体の奥から湧き上がってくる狂熱を解放してしまいたい。
だが、そんなことは出来ない。
彼女は怖かったからだ。
貪り掛かったその瞬間、彼の自分への想いが腐れてしまっていたとしたら、
どうやって生きていたらいいのか、分からない。


深遠なる矛盾を内に抱えた彼女は、だから静かに彼の名前を呼んだ。
それに応えて彼も彼女の名前を口にしながら振り返った。
しかし彼女の座る格好を見て、彼は一瞬硬直した後、
苦々しげに、「そんなはしたない格好をしてたら駄目だよ」と言った。
「どうして?」と返し、膝に乗せていた頬を離して正面から彼を見据えると、
少年は、「そういうものなんだ」と言い訳めいた口調で吐き出して顔を横向けてしまった。
何故いつも同じ反応しかしてくれないのか。
少女にはよく分からなかった。
私が欲しくないのか。
無論、誘っている訳でもないが、いつもいつも逃げてしまうのは卑怯だ。
いらぬならいらぬと一言、そう言えばいいのだ。
欲しいなら向かってくればいい。
こちらからいざなうものではないが、迎え入れるにやぶさかではない。
彼女はそうやって自分の感情に言い訳をしながら、やはり顔を背けた少年に失望した。
横を向いて彼女の晒された白い腿を見まいとするのは、少年の優しさでもあるだろう。
だがそれは冷淡な優しさだ。
そんなものを望んでいるのではないのに、やはり彼は分かってはくれないのだろうか。
考えていると段々と彼に対する腹立ちが込み上げてきた彼女はふと悪戯心を出して、
もう片方の靴下を彼の手で脱がせてもらおうかと―無論、拒否なんてさせない―思い立ったが、
やはり場所柄を考えれば憚られたので、やめておくことにした。
そんなことをするならば、もっと清潔で静かで、誰の目も心配いらない屋内のどこかでないといけない。
例えば、彼らの部屋だとか。
何か興味を惹くものでもあるのか、相変わらず頑固に横を向いたままの少年に溜息を吐いて、
少女は濡れていない方の靴下をするりと足から抜き取った。
それもくるくると畳んで、カバンの中に放り込んだ。
上げていた足を下ろして、一杯に伸びをした。
相変わらず雲は晴れない。
薄暗い公園。濡れた草葉。湿り切った空気。


「雨ってキライ」と、少女が呟くように言うと、「そうかい?」と少年が反応した。
「だって、雨粒がひとつ弾ける度に、寂しさが少しずつ増えるの」
そんな彼女を優しく見て、
少年は、「でも、僕は好きだよ」と言った。
「だって、雨の光景は綺麗だし、心地好いよ」
「そうかしら」と、怪訝そうに返す少女。
だが少年は続けて、
「それに、晴れているばかりが天気じゃないだろ?
雨が降る日があったっていいじゃない。雨が好きだって言う物好きもいてもいいじゃないか」
なおも少女は反論した。
「お洗濯、乾かないわ」
「たまにはいいさ」
「じめじめしてる」
「構わないよ」
「物寂しいわ」
「独りならね」
少女は少年の顔をまじまじと見つめた。
彼の表情は、どこまでも優しく温かかった。
他愛もない雨の話をしていたはずなのに、どうしてこんなに優しい眼差しで包み込んでくれるのか。
口がむずむずとした。
思いも寄らぬ言葉を吐き出してしまいそうで、彼女は必死に胸の内で自制に努めた。
「ふたりなら大丈夫だよ」
何を言っているのだ、この大惚け男は。
パンク寸前の心臓が馬鹿みたいに胸を叩いていた。
くらくらと眩暈がして、何だか涙と鼻血が一遍に出そうだった。
ぜいぜいと息が苦しくて、顔中がかっかと燃え上がりそうに熱かった。
それでも何とか己を律して、ようやく搾り出した誤魔化しのセリフは、「バーカ」
精々小馬鹿にしたような表情を作ってみせた。それで精一杯だった。
彼は、そんな少女の反応にきょとんとした顔をした。
これでいいのだ。彼の態度に深い意図などないのだから。
振り回されてやる義理はない。もっと真剣にぶつかりあってこそ意味があるのだ。
己の精一杯の虚勢に、笑みを象った瑞々しい唇が微かに戦慄いた。


彼女は身も心も荒み切ったかつての自分達を思い出した。
あの頃こそ、自分達は真摯であった。
対峙するお互いの全てを懸けてぶつかりあった。
その時に本当なら出ていたはずの答えをもう一度取り戻すのならば、
それはこんな優しい語らいの中であってはならない。
相手を殺し切り貪り尽くすほどの激しさと情熱を持って、事に当たらねばならないのだ。
そのように、彼女は思い込んでいた。
包み込んでくれ、慈しんでくれるだけの優しさが欲しいのではない。
私は貴方の掌中の玉ではない。貴方と同等の存在なのだ。
だから柔らかく包み込むのではなくて、私の心を貫いて、食らいついて。
そうすれば、もう一度私のことを正面から見ることが出来るはずだから。
彼女は、小馬鹿にしたような表情を装いながら彼を見つめた。
そうやって彼女はずっと長い間、ただ待っていたのだ。それが正しいと思い決めて。


しかし、またしても少年は彼女の意図を解さなかった。
不思議そうな顔をして彼女を見ていたかと思うと、不意に背後に広がる水を被った街を振り返り、
「そろそろ帰ろう」と、何かに言い聞かせるような声を出した。
目を伏せ、落胆したように息を吐いた彼女は、顔を上げると少年に腕を伸ばした。
彼はその手を取って、優しく引いて彼女を立ち上がらせた。
しっかりと握られた手。
一体いつになったら、この手が消えてなくなることがないと確信できるのか。
自分を繋ぎとめてくれる手が。自分が繋ぎとめておきたい手が。
立ち上がったその勢いのまま彼の目の、暗闇の奥を覗き込んだ彼女は、
知らず彼との間の二歩の距離をなくしてしまって、するりと彼の腕の中に滑り込んだ。
「アスカ?」と、少年が訊いた。
しかし少女は彼の唇を細い指でぴたりと押さえて言葉を遮り、
それから目を瞑って彼の体に腕を廻し、己の柔らかく温かい体を隙間なく引っ付けて、
一杯に匂いを吸い込んでから、安堵したように体を離した。
「どうしたの、一体」と訊いてきた少年に対して、「何でもないわよ」と返し、
少女は顔を逸らして、もう一度深呼吸した。
雨の匂いが胸に充満した。
そして傘を広げ、少年の脇を通り過ぎて、水溜まりを避け蛇行しながら先に歩いていった。
彼もその後をついていった。
公園の生け垣に、紫陽花が美事に咲き誇っていた。
入ってくる時には目にも留めなかったが、
彼女はその雨雫に艶めいたまり状の花の澄んだ青色に目を細めた。
が、一瞬後に碌でもない紫陽花の花言葉を思い出し、心の中で悪態を吐いた。


公園を出て、再びふたりは雨の中を並んで歩いていく。
灰色に染め抜かれた世界に一際映える、街路樹の緑。
いつもの燃え盛る力強さではなく、雨に濡れて艶々と輝いていた。
ばたばたと枝葉に雨が弾ける音を頭上に聞きながら通り過ぎていく、
鮮やかな赤と青の丸い傘。
相変わらず雨足は衰えることはなく、時折通り過ぎていく風が肩を湿らせていった。
少女は歩きながら空を見上げた。
手を伸ばしても届かない、遥か遥か高いところから雨粒が落ちてくる。
一粒、二粒、そして沢山。
数え切れないほど、沢山。
彼女の頭のすぐ上の傘のおもてに、雨粒がぶつかって弾けた。
水が滴る。彼女の心に降り注ぐ。独りでは溺れてしまう。


「虹が出るといいわね」と、彼女は呟いた。
その言葉に振り向いた少年は、何も答えなかったが、ただ静かに彼女の小さな手を握った。
まるで励ますように、ぎゅっと、温かく。
そして目的を果たして離れていこうとした彼の手を、しかし彼女は握り締めて離さなかった。
縋るような必死さで握り締めた手は何かを怖れ、汗ばんで、それでもまるで糊付けされたように
決して離すまいという彼女の意思が注ぎ込まれていた。
別に何かを伝えたかった訳ではなかった。
この瞬間、彼に何かを期待したのでもない。
ほとんど衝動的に彼の手を繋ぎとめて、なお彼女はその衝動の発露を黙認して、
ただ握り締めた手の心地好い感触に、ふたりでこのままどこまでも行けたらいいと、
そんなことを茫漠と思い浮かべた。
どこまでも、いつまでも、ふたりで共に。
そんな彼女の反応に少年の方もいささか驚いたようだったが、
それでも抗議も質問もすることなく、ただ黙って彼女の手を握り返して、
ふたり並んで雨の中を泳いで滑り抜けていった。


少女は隣を歩く少年の顔を覗き見た。
彼の顎、唇、額、瞳、何もかも。全てが愛おしい。
私の愛しい人。
いつの日か、あの時の答えを取り戻す時が来る。
彼女はそれをずっと長い間、ただ待っていた。
その時まで、待つつもりだったのだ。

「大好き、シンジ」

だから、彼女がその言葉を無意識に口走ってしまったのは最大級の不覚だった。
雨音が自分の声を掻き消してくれなかったことを一瞬呪い、次の瞬間には開き直った。
彼らは、もう待つ必要はない。







あとがき

読者の皆様、三只様、こんにちは。
リンカと申します。
三只様にはお礼と称して厚顔にもお送りしてしまって、申し訳次第もございません。
こんなつたないお話ではありますが、お読み下さった方々には感謝です。
お口直しには、三只様や、他の投稿なさっている方々の作品を是非どうぞ。
それでは、これにて失礼致します。











現在多くのSSを書いて投稿、大活躍中のリンカさんから初投稿を頂きました。


熱を失いつつある過去。
同時に、あの頃の関係を切望するアスカのジレンマ。
あの時の激しさを経なければ、過去の関係への回帰はできぬと思いこみ、
佇む足取りは少年への不満へと流転する。
ただそこにいる存在を確信したくて、紛れもない存在の証左を手中にしたいだけなのに。
そんな彼女の微かなつぶやきは六月の雨に弾けて。


わたしがこれ以上コメントを付けるのも蛇足な、もったいないほどの美文です。
投稿ありがとうございました。



リンカさんへの感想はこちらからどうぞ……。



*青い紫陽花の花言葉…忍耐強い愛








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