彼は目を覚ます。

最初に意識したのは、身体全体を覆う温かい水。鼻を突く…これは塩気か。

奇妙な浮遊感も加え、自分が海にいることに気づく。

身体を起こそうと、半ば無意識に実行した。

上体を支えた右手が砂地を噛み、意外と浅瀬にいることも理解せぬまま、彼は視界を取り戻す。

目前に広がる海。微かに全身を揺らすのは、寄せては返す波。

全身を浸す原初の本能。

押し寄せる郷愁と共に思い出す。

…長い、長い夢を見ていた。

そこで、妻に会えた。妻に触れた。そして知った。

もう二度と妻とは添い遂げられないということを。

この命を投げ出したとしても、彼女と同じ世界へは行けぬことを。

だから妻はいった。優しく告げた。

…永遠の別れを。

生きてください。

活きてください。

貴方の新しい人生を。

残された人生を。

私を忘れてくれないのは嬉しいけれど。

私を愛してくれているのは嬉しいけれど。

決して、同じ時は歩めないのです。

だから…。



ああ、分かったよ、ユイ…。

男、碇ゲンドウは呟く。

しかし、俺も多くの罪を犯してしまった。重ねすぎてしまった。

もはや取り返しはつかないだろう。

誰も許してはくれないだろう。

そう、誰も。

ならば、いっそのこと。

君がいない世界に留まるのは、きっと一人では耐えられない。




背中に温もり。

海の温度と異なる温かさが被さってきても、ゲンドウは微動だにしなかった。

彼が反応したのは、それが優しく耳元に囁いた段になってからだ。

それは言った。彼女は言った。

震える声で。

はっきりと。

「司令…」

その声に、ゲンドウは思わず裸の胸の前に回ってきた彼女の手を握ってしまった。

そんな行動を取ってしまった自分に愕然とする。

俺は…何をしているのだ?

殺したのだ。確かに「愛している」と言った女性を。この手で。

そう、彼女は死んだはずだ。

ならば、これは亡霊か。丁度いい。連れて行って貰えばいい。

更に寄り添ってくる温もりが、ゲンドウの記憶を呼び覚ます。

そういえば、俺も死んだはず…?

「司令…!!」

頬をくすぐる髪の感触に、ゲンドウは生きていることを思い出した。

「赤木…リツコ…」

それ以外、なんと口にすれば良いのだろう。

そして口にしてしまった以上、身体に伝わってくる温もりを感じ続けるほか術はない。

一方、リツコの方も、ひたすら縋り付き泣きじゃくるだけ。

どれくらいそうしていただろう。

本来の機能を取り戻しつつある聴覚が、潮騒の音を認識する。

ほぼ同時に、泣きじゃくるだけの声がようやく輪郭を取り戻す。

「私も…聞きました。ユイさんの声を」

「……」

変わらずゲンドウに覆い被さるだけの格好で、視線すら合わせぬままリツコは話し続ける。

「彼女の望みを全うしてください…」

「…無理だろう。私は…罪を…」

頭を振ってゲンドウ。

短い応えを打ち砕くように、リツコは縋り付く手に力を込めた。

「もし、貴方があの時いった言葉をもう一度言ってくれるなら…」

「……」

「もし、貴方が最後に私にくれた言葉を信じていいのなら…」

「………」

「私が、貴方を許します」







沈黙が落ちる。

潮騒と微かな風だけが二人を包む。



「…例え、世界中が貴方を非難しても」


ゲンドウの顔が僅かに傾く。


「私だけは、貴方を許してあげます。そして、ずっと側に…」



ゆっくりと振り返る厳つい男の顔。

ヒゲに覆われた口元が微かに動く。

そこからこぼれ落ちた言葉。

おそらく、この男が、生涯で数えるほどしか口にしなかったであろう言葉は。

永遠に続くかと思われる潮騒に飲まれて消えた。


































































「ってなプロローグだけで終わっていれば、このお話も綺麗なんだろうけどねー…」

「なにアスカブツブツいってるの? もう出かけるよ?」

登校前の朝の一幕。

同居人の少年の声に、慌ててアスカは囓りかけのトーストを口に放り込んで野菜ジュースで流し込む。

キッチンの流しにお皿を放り込んだその足で洗面所へ。

歯を磨き、最後の身だしなみチェック。

よし、本日も問題なし!

半分以上駆け足で向かった玄関先には、既に碇シンジが待機していた。

「おまたせ」

ブスッとした声になりそうなのに気づき、速攻で軌道修正する。朝から不機嫌なんてのは我慢我慢。

なのに。

彼女の努力を知ってか知らずか、シンジはさらっと言う。

「じゃあ、アスカ、僕の鞄お願いね」

「うん、分かった…って待ちなさいよ! なんであたしがアンタのぶんまで持たなきゃなんないワケ!?」

先ほどの我慢もどこへやら、思わず叫ぶアスカだったが、シンジはとっくに玄関の扉の向こう。

憤然と後を追いかけ怒鳴りつければ、

「しーっ!! そんな大声出さなくても聞こえるってば。…そもそも、僕が鞄もてないの、見れば分かるだろ!?」

なんと逆に叱責される始末。

しかも、そう言われて黙り込むアスカまでいるのは、もはや奇跡の領分に属する事態かもしれない。

そんな魔法のタネはシンジの前方を粛々と進んでいた。

真新しいベビーカー。そこに横たわるのは生後七ヶ月余りの赤ん坊。

自分そっくりの黒い瞳にシンジは笑いかけた。その半歩後方で、アスカは憮然とした顔で腕を組んでいる。

この二人に全く逆ベクトルの感情を加速させるこの存在の名前は、『碇ケイ』という。

碇ゲンドウと赤木リツコの間に産まれた女の子で、シンジにとっては歳の離れた妹に当たる。

ここ数ヶ月、この異母妹の世話に、碇シンジは熱心だった。いや、夢中といっても過言ではない。

新婚生活もそこそこに職務復帰したゲンドウは、ネルフという組織を維持するため東奔西走の日々を送っている。

以前までの組織の基幹であった己のエゴを廃し、あまつさえ全く別の組織へと再編、稼働させるための腐心。

その殆どを他人任せにせず、全てに置いて指導、監督している。並大抵の苦労ではないだろう。

E計画の責任者であった赤木リツコの多忙ぶりも夫に準ずる。

国連への詳細なエヴァンゲリオンやその他のオーヴァーテクノロジーのレポートの提出。

報告を終えても、各国へと招聘され熱弁を振るうことも珍しくない。

そこで様々に発展性のある情報を仄めかし、かつ独占、占有できるよう権限を確保。

もちろん有力な国を見極め、提携、供給、取引などの駆け引きも忘れない。

いずれにおいても、いかにもネルフでしか研究は進められず、ネルフでしか扱えないことを強調した。

オリジナルMAGIを擁するネルフ本部においてそれは事実である。

しかし、彼女の必死のアナウンスが組織の存続へと貢献したことは疑いない。

そんな激務に見舞われ続けるゲンドウ・リツコ夫妻は、子供が出来たからといってノンビリと育児をすることは許されなかった。

リツコのみ、臨月と産後の一月ほどは休養のような物をとったが、即座に復職を余儀なくされている。

急遽ネルフ発令所隣に全く私的な育児室が併設されたが、まさか海外出張にまで乳飲み子を連れて行くわけにもいくまい。

とりあえず乳母でも雇うか、もしくは保育園にでも預けるか。

そう話し合ったゲンドウとリツコであったが、それを聞きつけたシンジが名乗りを上げた。

僕が妹の面倒を見るよ! と。

ゲンドウは驚き、シンジが熱心に訴えてきたことにより驚いた。

それが即座に和解へ繋がるとも楽観していないが、進歩ではあるだろう。

内心の喜びを隠すように無言の夫に比べ、その新妻はリアリストだった。

今年から高校生でしょう? 学校は? 勉強は? 

彼女の大きすぎる義理の息子を眺める視線は、厳しいが思いやりにも溢れている。

適格者として散々無理を強いた過去は、いくら謝罪をしても許してもらえるとも思っていない。

素直に『お母さん』と呼ばれることにだって期待していない。

だけど。

そんな過去を悔いるからこそ。

彼には、普通の生活を送って欲しかった。

年齢相応の、当たり前の学生生活を送って欲しいのだ。

もう私たち大人のエゴの為に、あなた達子供が振り回されることはないのよ。

言葉にせず告げてくる新しい母に、シンジは力強く頭を振った。

僕がしたいから面倒を見たいんだ。

だって、僕の妹だよ? 世界で一人きりの妹だよ?

父さんや…リツコさんが忙しいのは仕方ないよ。

誰も家族がいないのなら、専門の人を雇うのもしょうがないとは思うよ。

でも、僕がいるじゃないか。

僕はお兄ちゃんなんだから…。

力強いまなざしに、正直リツコは感動していた。

隣席のゲンドウと視線を交わし、許可する以外何が出来るというのか。

そう、私たちは家族なのだから。

でも。

リツコは念を押す。

大変だとか手に負えなくなったと思ったら、即座に本部の人間に相談しなさい。男の子なんだから…。

シンジ自身の家事処理能力は十分に賞賛、ヘタをすれば羨望にすら値することを熟知していたが、そうアドバイスした。

なんせ育児と家事は別問題である。

それに、やはり育児は母性本能に拠る部分も大きい。男性の感覚で処理できなくなるケースも出るだろう。

ところが、シンジは笑って頷いた。

大丈夫だよ。きっとアスカや綾波も協力してくれるからさ。



後日、「なに勝手に協力なんか確約してんのよ!?」とアスカに怒られたのは、まあ余談。








「ケイ、大丈夫? 眩しくない?」

甲斐甲斐しくベビーカーの妹に話しかけるシンジの隣で、アスカはかなりの仏頂面。

あんたバカァ!? その歳の赤ん坊が喋るわけないじゃない! と怒鳴りたくてウズウズしているのは明々白々だ。

機嫌が悪いのは彼女自身理解している。

理由だって把握している。

まず、単純にこの見た目。

高校生の二人がベビーカーを転がしながら登校しているというこのシチュエーション。

事情を知らない人がみたら…考えたくもない。一々訂正や説明するなんてのも真っ平ごめん。

だから、もう構わない。思いこみたいヤツはそう思っていればいい。

そして何より気に入らないのは。

シンジが赤ん坊に向ける笑顔。

自分にすら滅多に向けない優しい笑顔を乱発するバカが、なにより気にくわなかった。

なによ、アンタはあたしだけを見てればいいのにさ…。

モシャモシャと口の中で苦虫と一緒に噛みつぶし、アスカは回想している。

赤い海。黄金の砂浜。

そこでマウントポジションで首を絞めてきたバカ。

気持ち悪かった。もうめちゃくちゃに気持ち悪かった。

だって、身も心もボロボロにされていたあたしの上に、このバカが覆い被さってきたのよ?

ワケわかんないわよ、もう。

だから、泣いて手を離してきても、許してやる気はなかった。

だけど、許すしかなかったあの二人きりの世界。

全くあの世界は悪意に満ちていた。

なにせ、二人きりで生きて行こうと決めた途端、続々と人が還ってきたのだから。

歓迎ムードや再会の喜びも一転、二人は病院への入院を余儀なくされた。

繰り返されるカウンセリングと手術。

もっとも手術を受けたのはもっぱらアスカで、カウンセリングを終えたシンジは早々に退院している。

手術のおかげで表面的な身体の傷も癒えた少女の元を、少年が見舞い続ける日々。

そのたびの言葉責めで、アスカは加虐趣味に存分に磨きをかけていた。

涙目になり謝罪する少年から引き出した言質の数々。

『アスカの言うことはなんでも聞くよ』

『アスカ以外、誰も見ないよ』

『ハンバーグは一週間に必ず二回以上』

一年の入院生活を終え、アスカは保護者の出て行ったマンションに舞い戻った。

始まるは二人きりの生活。

これからたっぷり調教、もとい躾をしてあげるわ、ふっふっふ…。

そうほくそ笑み、綿密に計画していた調教ライフだったが、開始と同時に頓挫した。

その原因がこの赤ん坊。

シンジの妹、碇ケイ…。

果たして、あの数々の誓約を翻させるほどの価値が、この子供にあるのだろうか。

あのね、アンタはあたしと妹、どっちが大事なの!?

面向かってそう問えるほど、アスカは堕落していなかった。

彼女のプライドが赤ん坊と張り合うことを許さない。

本当にくだらないと思う。自身のプライドへ対するものか、赤ん坊へ向けたものか、自分でも判然としないけど。








校舎にベビーカーごと乗り付けても、今更どの生徒も奇異の視線を送ってくることはなくなっていた。

当初はそれは凄まじかった。

誰もが二人の子供かと大騒ぎし、全校生徒あげての上へ下への乱痴気騒動。

フケツフケツを連発する親友をどうにか宥めるので手一杯のアスカを横目に、シンジはこのときばかり力強く宣言したものだ。

「この子は、僕の妹なんだ!!」

誇らしげにすら見えるその姿に、騒ぎは沈静下への急斜面を転がり落ちていった。

既にネルフから根回しされていた学校側の対応も、それに拍車をかけた。

碇シンジ。この者はやむを得ない事情に拠って、乳児連れで授業に出席することを許可する。

ふざけているわよね、この学校は。

自席に付き、頬杖と悪態をつきながら、斜め後ろの席へとアスカは視線を送る。

教室の最後尾の席を用意されたシンジは、隣にベビーカーを据えた。

それから机の上に大きなデイバックを置いている。中に詰め込まれているのは、むろん替えのおむつやなにやらだ。

慣れた手つきで哺乳瓶を取り出したシンジは、粉ミルクをスプーンですくって放り込む。

席を立ち、なぜか教室の後ろに備え付けられたお湯入りの電動ポットと冷水ポット。

お湯を注いで蓋をして、シェイク。冷水で人肌に冷まして出来上がり。

たちまち乳臭い匂いが周囲に溢れるが、誰も苦言を呈するものはいない。

「さあ、ケイ。ご飯だよ?」

優しいシンジの声に、アスカは胸の内が苦みを持って熱くなるのを自覚する。

なによ、あんな声だしちゃってさ。男のくせに気味が悪いったらありゃしない。

そんな彼女の目前を、より心を波立たせる存在が闊歩して行く。

青い髪の少女、綾波レイ。

「碇くん。わたしにも手伝わせて…」

「うん? ああ、お願いするよ、綾波」

二人の受け応えに、噛み合わされたアスカの奥歯はまるで地鳴りのような音を響かせた。

何よ、ファーストのヤツ! 巨大化して顔面スライスしてたと思ったら、ちゃっかり戻ってきて!

でっかくなったりちっちゃくなったり、アンタはウルトラセ○ンかっての!!

彼女に対する悪態はよりストレートなものになる。

無理もない。

綾波レイの未だ曖昧なスタンスは、アスカ自身のスタンスすら左右しかねないからだ。

今現在、綾波レイを碇家へと迎え入れようとする動きが、ゲンドウたちの間に存在する。

シンジも賛同し、すわ戸籍の獲得という段になって、猛然と抗議をした人物がいる。他ならぬアスカである。

レイの誕生日は3月30日となっている。しかしながらこれは便宜上のものでしかない。

本来、彼女は碇ユイのクローンに無理矢理魂を宿したものでしかなかったのだから。

だが今は違う。ここに存在するのは、全くの個人である綾波レイなのだ。その証拠にもう予備はいない。

ならばこそ、新たな戸籍を獲得するこの機会、本人の望む誕生日を設定してやってもいいのではないか。

――――――じゃあ、わたし、4月2日がいい。

レイの答えに、アスカは大反対した。

そんな誕生日をコロコロ変えていいわけないでしょう!? 誕生日ってのは、その人に一つしかないんだから!!

熱心でどこか的はずれな説得は、周囲の人々も面喰らうほど。

しかし、これは建前。

本音はもっと深いところで複雑怪奇に渦を巻いていた。

ファーストが、数ヶ月とはいえあたしより年上になるなんて許せない。

シンジより早く産まれたことになると、必然的にシンジのお姉さんってことになるでしょ?

それに、万が一、それこそ数億分の一の確率だろうけど、可能性が0じゃない未来の事にも想いを馳せる。

あたしは、あの女を義妹と呼ぶのはともかく、間違っても義姉なんて呼ぶ気はない…。

だったら何時の誕生日にすればいいの? と逆に問われ、アスカは迷わず12月25日と答えた。

理由を聞かれ、クリスマスとまとめて済ませられるから楽でいいじゃない、と言ってのけるあたり、全く彼女もいい度胸をしている。








碇シンジの15年あまりの人生に置いて、現在は最初の絶頂期と言えるかも知れない。

思えば色々あった。

たくさん傷つけて、たくさん傷ついた。

全てが解決したハズもなく、全てが許されたとも思っていない。

でも、少なくとも、この子が現在の方向性の正しさを証明してくれているはず。

腕の中の小さな存在を抱きしめる。

碇ケイ。

僕の妹。

優しく背中をさすれば、赤ん坊は軽くケプッと漏らす。

「はい、良い子だね。お腹いっぱいだね〜」

頭を撫でてやれば、きょとんとした瞳がまもなく笑みとこぼれた。

シンジにしてみれば、泣きたいくらい感動的で嬉しい。

周囲には、可愛い可愛いと連呼しながら抱っこの順番待ちをしている女生徒たち。

このようなクラスメートの反応も涙が出るくらい嬉しい。

女生徒の輪の外からアスカが何故かこちらを睨んでいる。

どうしたんだろう? 抱っこしたいならアスカも来ればいいのに。

綾波レイに妹を手渡しながらシンジは思う。

正直、レイが還って来てくれたのもとても嬉しい出来事だった。

最後のあの戦いで巨大化した彼女に吸収された自分。

インナーワールドで望む世界を諭され、そして別離。

新しい世界では二度と会えないだろうと思っていたのに、ひょっこり戻ってきた青い髪の少女。

父であるゲンドウも戻ってきてリツコと結婚した矢先である。

そこにレイを家族として迎え入れることが出来たのは、幸福の二重奏と形容しても足りないくらい。

更に一年後にはゲンドウとリツコの間に子供が産まれ、シンジの幸福感は絶頂を迎えたわけである。

惜しむらくは、ゲンドウ・リツコと共に多忙で、ろくな家族の団欒が取れないこと。

もう一つは、何故かアスカの強固な反対により同居が許されず、未だマンションでの二人暮らしを強いられていることくらいだ。

必然的にレイも一人暮らしを継続している。

それでもマメに夕食に誘ったりするシンジであるが、これもどういうワケかアスカが機嫌を損ねるケースが多い。

同居人の少女の反応には、本気で首を捻るシンジである。

ちゃんと約束通り週に二回はハンバーグを作って上げているし…。

その、少し恥ずかしいけど、アスカ以外の女の子を見ないという約束も守っているつもり。

綾波を誘うにしても、妹を誘うのと大差ないから別問題のハズ。

だったら、どうしてアスカはここのところ不機嫌なんだろう?

予鈴が鳴り響き、名残惜しげに女生徒たちは散っていく。

レイから大事に妹を受け取りベビーベッドに寝かせた頃、教師が教室へ入ってくるところだった。

朝礼の後、そっとアスカの席を伺う。

睨んでこそいなかったが、やはり彼女は不機嫌そうなままだった。

























続く



(2005/05/10)



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